影響力

エスター・ヒックス+ジェリー・ヒックス 著 吉田利子 訳『お金と引き寄せの法則』より

ある若い父親は、幼い息子が毎晩おねしょをするので困り果てていた。

毎朝ベッドや寝巻きが濡れているのを見てうんざりしイライラするだけでなく、こんなことがいつまでも続いたら子どもの精神面にどんな影響が出るかということも心配だった。

正直言って、息子がいつまでもおねしょをするのが恥ずかしくもあった。

「もう大きいのに」と父親はわたしたちに嘆いた。

わたしたちは尋ねた。

「朝、子ども部屋に行くと、どうなりますか?」

「そうですね。部屋に入るとすぐ、またおねしょしたな、と匂いでわかります」父親は答えた。

「そのとき、どんな気分がしますか?」

「お手上げだ、腹が立つ、イライラする。こんなことがいつまで続くんだ、どうしていいかわからない」

「息子さんにはなんと言いますか?」

「さっさと濡れた寝巻きを脱いでバスタブに入りなさい、と言います。もう大きいのに、こんなこと、前にもさんざん言われただろう、って」

わたしたちは父親に、実はあなたがおねしょを長引かせていると言って、こう説明した。

「あなたの気分が状況に支配されているときには、自分が影響を与えて状況を変えることはできない。だがその状況のなかでどう感じるかを自分でコントロールできれば、影響を与えて状況を変えることができる」

例えば、息子さんの部屋に入って望ましくないことが起こったと気づく。

望まないことが起こったと認識したら、そこで立ち止まって自分が望むのはなんだろうと問いかけ、さらにどうしてそれを望むのかと自問して、気持ちを転換する。

そうすればすぐに明るくていい気分になるだけでなく、まもなく前向きの影響力が働いた結果を目にするだろう。

「あなたは何を望んでいるのですか?」わたしたちは聞いた。

父親は答えた。

「息子がおねしょせずに楽しく目覚めること、おねしょして恥ずかしいと思うのでなく、おねしょしなかったとプライドを持つことです」

この父親は望むことに焦点を定め、そのプロセスで自分の願望との調和を取り戻して気分が楽になった。

わたしたちは言った。

「あなたがそんなふうに考えれば、望まないことではなく望むこととの調和があなたからにじみ出る。そうすればあなたは息子さんにもっと前向きの影響力を与えることができます。そのときは、こんなふうに言うでしょう。『ああ、これも成長過程の一つだ。みんなが通ってきた道だし、おまえはどんどん成長しているものね。さあ濡れた寝巻きを脱いでバスタブにお入り』と」

まもなくこの若い父親は、おねしょが止まったとうれしそうに報告してくれた。

あなたが自分の子どもに向ける眼差し。

その眼差しの奥にある思考は、「望まないこと」と「望むこと」のどちらでしょう?

例えば、親や誰かに「望まないこと」を思われながら、ずっと見られている感覚はどういう感じがするでしょう。

「この子は当たり前のことがちゃんとできない」

「問題がある子だ」

「この子はまた私を困らせる何かを起こすんじゃないだろうか?」

「きっと今日もまた何かを起こすはずだ」

そういう目で見られている子どもは、相手の眼差しの奥にある「思い」をちゃんと感じ取ります。

これは子どもだけではなく、恋人や夫婦でも同じ。

近しい誰かからいつも粗探しをされているような目で見られると、感情は不安定になり(感情が不安定になると、望まない現実を創造しやすくなります)、相手が抱いている「望まない思考」の通りに、何らかの問題を起こす可能性が高くなります。

冒頭の「おねしょの話」でもある通り、「あなたがいつも相手をどういう目で見ているか?」が、相手にどれほどの影響を与えているかをきちんと知ることですね。

「可愛い〇〇ちゃん。あなたの中の神を尊重します。あたなを信じています。あなたを愛しています」

いつも相手を「愛」で見られたら、相手の中からも「愛」が勝手に拡がります。

なぜなら、「愛」が私たちの源泉だから。

誰かを見る自分の眼差しの奥に「愛」があるのか?

それをいつも自分に問い続けられる自分であれば大丈夫。

きっと、相手に素晴らしい影響を与えられると思います。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です