チューニング

仕事柄、お客さまから色々な相談を受けます。

先日は恋愛についての相談でした。

20代のAさん。

付き合って数ヶ月の彼氏についてのお悩みで、彼の嫌な部分が見えてきたそうです。

「そもそも、Aさんは、彼のことが好きなんでしょうか?」

「わからなくなってきました(泣き笑い)」

「Aさんはご両親に愛されてすくすく育ったと思いますが、彼はどうでしょう?」

「そんなことなさそうです」


詳しくお聞きすると、彼の親御さんは子どもに優しい人ではなかったようです。

かつての私もそうでした。常に自分の機嫌を家族や誰かに取らせる父親の元で育ったので、言葉や時には暴力でよく否定されました。

そういう親の元で育つと、子どもはまず「自己肯定感」が持てなくなります。親からしょっちゅう否定されて育っているわけですから、当然ですね。

子どもは「ありのままの僕(私)」で存在していることに安心ができない。その日その時の気分でコロコロ変わる親の好みに、「自分が気に入られるか?」「怒られないか?」と、いつも不安になる。「自分は今どう振る舞うのが親にとっての正解なのか?」が最優先事項になり、そのためには言葉でも思考でもウソをつくようになる。

やがてこの子が大きく育っていくと、自分を偽って生きるようになります。

自分を大きく見せたり、時には犠牲者意識を前面に出して自分を小さく見せたり。これは男女でも違いがあるし、育っていく環境の中で「どちらに振る舞うのが得をしたか」でも変わってきます。

学校や集団で力を持っている人達の好みや、コロコロ変わる時代の流行りに自分を合わせるようになる。自分より強い者の機嫌を取るようになるし、自分より弱い者に自分の機嫌を取らせるようになる。

他者から何かを指摘された時や、他者が自分の好みを受け入れなかった時は、「責められている」「自分を否定されている」と感じるようになり、それに見合ったリアクション(攻撃する、傷つく、恨むなど)を取る。

自己肯定感が低いので、他者のことも肯定できない。特に、他者が周囲に合わせずに「ありのままで存在すること(つまり、誰の機嫌も取っていない状態)」を肯定できない。

卑屈で、褒められても素直に受け入れない、自分を大切にできない。

・・・と、悪い面ばかりを羅列してしまいましたが、要するに、幼い時に親から「愛」のフィーリングを充分に感じさせてもらっていないと、自分の中の愛がどんどん小さくなっていくんですね。正確には、愛は変わらず自分の中にあるのだけれど、それを感じられなくなる。そうすると、愛が自給自足できずに、間違ったところに愛を求めるようになる。

誰かの機嫌を取って認められようとしたり、自分の機嫌を取ることを相手に求めたり、自分の好みや価値観を他者に押し付けたり。

そういう行為で得られるフィーリングは「愛に近いもの」でしかなく、本物の「愛」ではない。愛に近いけど本物の愛ではないこのフィーリングは、すぐに枯渇します。

なぜなら、「愛」は他者から得るものではなく、自分の中から無限に湧いてくるものだからです。


じゃあ、彼に対して、Aさんはどうしたらいいのか?

私がお伝えしたのは、彼を説得することでも別れることでもなく、Aさんが「自分をチューニングし続けること」でした。

「何」を「何」にチューニングするのかというと、Aさんの「感情と思考」を、「心地よさ」「安心」「楽しさ」「いい気分」にチューニングすることです。


チューニングする方法は沢山あります。

もしも現実が望まないものなら、現実を見ずに気分を変える。好きな動画を観る。好きな本や漫画を読む。好きな音楽を聴く。お気に入りのお店でお茶を飲んでくつろぐ。山や川や畑などの自然に触れる。動物に触れる。幸せや喜びを自給自足できている人と会って愉快に話す。エステやマッサージなどで身体から心地よさを感じる。趣味や運動に没頭する。興味があることを学ぶ。お風呂に入る。ひたすら寝る。

テレビや新聞、SNSやネットの情報などで感情がネガティブに動くものは見ない。望むもの、好みのものだけを見る。ネガティブな情報について誰かと会話して、感情が望まない方向へ動いていることに気づいたら、話題を変えるか、会話を切り上げる。

人や物事の「いいところ」をノートに書いたり、スマホにメモする。

望まない物事について、思考の転換をする。望まない思考から、「ホッとして気分が楽になる」感覚を頼りに、少しずつ望む思考へと転換していく。

ネガティブな思考が浮かんだら、マントラや好きな言葉を唱えて、頭の中を満たし続ける。

・・・などなど。


いつも自分の思考とそれに伴う感情をモニターして、思考と感情がネガティブに傾き出したら、まずはそのままの自分を受容する。「今は落ち込むのも仕方ない」「大丈夫、大丈夫」「なんだったら、このままネガティブに浸り切ってやろう!」「くそ!ぼけ!あほ!ずっと怒り続けてやる!」ぐらいの気持ちで、焦らず丁寧に自分を受容してあげる。

これが上手くいくと、不思議なぐらいにどうでもよくなる時が来ます。が、そのことも期待せず、ただ自分を許して受け入れ続けましょう。

そして気が向いたら、好きなことや心地よく感じることをやって更にチューニングを安定させる。


Aさんが自分をチューニングし続けたら、彼が変わるのか?

それは、わかりません。

ただ、Aさんが毎日「いい気分」になることは確かです。

そういうAさんになったら、彼(も含めた他者)がAさんに影響されて勝手にチューニングされる可能性もあります。赤ちゃんや動物を見た人が笑顔になるのと同じですね。そうなると、彼との関係性は変わってくるでしょう。

そうならない場合は、「似たもの同士が引き寄せ合う」という宇宙の法則から、お別れすることになるかもしれません。(似ていない波動のものは引き合わないので)

「いい気分」に自分をチューニングすることは、自分の足場を固めることに似ています。今立っている場所が固くて安定した足場なら、次の望む場所へと大きくジャンプすることができます。

逆に、今立っている場所がグラグラの不安定な足場なら、その場で飛び上がることすらできません。それが「不安」や「焦り」などのネガティブな感情にチューニングされている状態です。


自分をチューニングすることは、恋愛だけでなくあらゆることに使えます。というか、自分の人生を生きる基盤になります。

よければ、お試しください。

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