テクニック

「オステオパシーはテクニックではない」

オステオパシーのセミナーを受講していた頃に、沢山の講師から言われた言葉です。

講師はそんなことを言いつつも、セミナーでは様々なテクニックを私たちに教える。

「この矛盾はなんだ?」

最初の頃はよくわかっていませんでしたが、学んで何年か経つ頃には次第にその意味がわかり始めました。


相手の全て(肉体、個性、思考、価値観、生き方)を尊重して、その肉体に触れた時、施術者は「今この人におこなうべきこと」へと自然に導かれます。

その時に初めて必要になるのが、「テクニック」です。

施術者が何らかのテクニックを持っていると、相手の肉体がそれを引き出してくれます。「これください!」って。


例えるなら、施術者は食堂やレストランで、肉体はご飯を食べに来たお客さまです。

「今日はガッツリ食べたいなぁ。すいません!トンカツ定食ください!」

「はい!喜んで!」


そう。「トンカツ定食」が「テクニック」です。

じゃあ、入ったお店に「トンカツ定食」がない時はどうするのか?

それは大丈夫。

なぜなら、お客さまの肉体とつながっているスピリットが、自分に必要な「トンカツ定食」を作れるお店を選んで入ってくるから。もしも「トンカツ定食」がなくても、肉体は「チキンカツ定食か、焼肉定食でもいいよ」となるかもしれない。

施術者自身が「自分が持っているどのテクニックを使うのか」を思考で選ぶのではなく、お客さまのスピリットが「自分の肉体に必要な刺激や調整方法を施術者から引き出す」のだと私は思っています。

それが起こるためには、施術者が意図を持たずに「ニュートラルに存在する」必要があります。

ニュートラルになると、「この症状にはどんな手技が有効だろう」という思考が静まり、感覚が優位に働き出します。

感覚に導いてもらうと、必要な手技は後からついて来ます。

ちなみに、肉体が望んでいる「トンカツ定食」やその他の代替メニューを作れないお店をお客さまが選んでしまった場合は、様々な「条件づけをする思考」がスピリットから届く「直感の声」を遮断してしまったことが原因かもしれません。「感情がニュートラルな時の直感に従わずにお店を選んだからだね」という気づきにもなるし、「もっと自分に合うお店を見つけたい」という望みも明確になるので、必要な経験なのだと思います。


オステオパシーでもカイロプラクティックでも整体でも鍼でもマッサージでもヒーリングでも、世の中の施術法(治療法)には数え切れないぐらいテクニックがあって、それらを習得するのは意義のあることです。

テクニックを学ぶことで、施術者が「自分に合うやり方」を知るきっかけになります。

どんな指導者や方法論やテクニックを選ぶのかについても、施術者がスピリット(ソース)とつながっていれば、必然性の中で自然に出会うと思います。

しかし、どんなテクニックも、人の身体に触れるための入り口にしか過ぎません。

いずれテクニックはいらなくなります。

捨てるのではなく、脱ぐに近い感覚。

脱いだ先に、その人独自のやり方が生まれます。

私は沢山脱ぎ過ぎて、ほとんど忘れてしまいました(笑)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です