静かな鼻呼吸の健康効果
「鼻から静かに吸い、鼻から静かに吐く」
こういう「静かな鼻呼吸」をすると、呼吸の量が減り、様々な健康効果があります。
具合的には、運動能力や集中力の向上、喘息の改善、脳卒中や心臓発作の予防など。
また、辛い花粉症や鼻炎を緩和したり、体重を減らす効果まであります。
では、呼吸の量を減らすとなぜ身体に良いのでしょう?
随分前のブログに書いたことと重複しますが、呼吸の量が減ると血中の二酸化炭素が増えます。
「え?二酸化炭素が少ない方が身体に良いんじゃないの?」
と思いきや、実は、血中の酸素運搬役である「ヘモグロビン」は、血中にある程度の二酸化炭素がないと、自身が持っている酸素を筋肉や組織へ受け渡さないんです。
これを「ボーア効果」といって、初めて聞く方にはちょっと信じられないかもしれませんが、私たちの身体はそういう仕組みになっているようです。
『人生が変わる最高の呼吸法』によると、二酸化炭素の役割は以下の通り。

- 血中の酸素が体内の細胞に放出されるのを助ける
- 気道と血管の壁の平滑筋を拡張する
- 血液のpH値を調整する
「静かな鼻呼吸」とはほぼ真逆の、一般的な「深呼吸」では、深く大きな呼吸をします。
まず鼻や口から大きく息を吸い込むと、血中のヘモグロビンに沢山の酸素が行き渡ります。
次に大きく鼻や口から息を吐き出すと、沢山の二酸化炭素が体外に排出される。
その結果、血中の二酸化炭素量が減って、「ヘモグロビンは酸素をいっぱい持っているにもかかわらず、筋肉や臓器へ十分な量を受け渡さない」という理不尽な現象が起こります。
再び大きく息を吸って、沢山の酸素が体内に入ってくる。
↓
すでに沢山酸素を持っているヘモグロビンはもう持てない。
↓
大きく息を吐き出して、血中から大量の二酸化炭素が出て行く。
↓
ヘモグロビンは持っている酸素を体内の細胞へ渡さない。
深呼吸はこの繰り返し。
例えば、酸素が足りない状態の筋肉は望み通りに動いてくれないし、脳や内臓の働きも悪くなる。
「はぁ〜」
ため息をつくと心身ともに重くなるのはこのためです。
心を落ち着かせるために、大事な場面では深呼吸。
「スーーーハーーー・・・なんか落ち着かんなぁ」
子どもの頃から「深呼吸は身体に良い」と教えられてきたけれど、実はそうではなかったようです。
本には喘息も呼吸過多が原因になっていると書かれていました。
私は『チベット体操』を7年ほど続けています。
体操中の呼吸は、『5つのチベット体操』という本に書かれている通り、「鼻でお腹の底まで息を吸って、口から息を吐き切る」という方法でおこなっていました。
鼻から「スーーー」
口から「フーーー」
という風に、大きな呼吸音をさせて。
この呼吸で体操をすると、体操中も体操が終わった後も「ハーハー」と息が乱れます。
「運動しているんだから、こんなもんだろう」
当時は疑問すら湧かなかったのですが、『人生が変わる最高の呼吸法』を読んでから、試しにチベット体操の呼吸を「静かな鼻呼吸」に変えてみました。
吸う時も吐く時も、呼吸音がなるべくしないように鼻でおこなう。
そうすると、体操中も終わった後も呼吸がほとんど乱れていないことに気がつきました。
多少息が乱れても、静かな鼻呼吸を続けていたらまた呼吸が楽になっていく。
「呼吸の仕方でこんなに違うんだ!」と驚いたものです。
それからはずっと静かな鼻呼吸でチベット体操を続けています。
さて、静かな鼻呼吸の恩恵は「ボーア効果」だけではありません。
鼻の奥にある空間、「鼻腔(びくう)」では、一酸化窒素がつくられています。
以下は、『人生が変わる最高の呼吸法』に書かれていた一酸化窒素の働き。
- 肺の中の気道や血管を拡張する
- 気管の平滑筋を拡張する
- 血圧を調整する(高血圧を予防)
- コレステロール値を下げる
- 動脈の老化を防いで柔軟性を保つ
- 動脈瘤を予防する
- 抗ウィルス・抗菌作用
どれも重要な働きです。
口呼吸では空気が鼻腔を通らないので、これらの効果は得られません。
鼻から息をゆっくり吸うと、一酸化窒素という有能な分子が肺と血液に送り込まれ、そこから全身に行きわたる。
しかし口呼吸だと、鼻の奥にある一酸化窒素を素通りしてしまうために、一酸化窒素が健康に与える利点をまったく生かすことができない。
ちなみにハミングをすると、鼻腔で生成される一酸化窒素の量が15倍にも増えるそうです。
次に、口呼吸による悪影響です。
- 口呼吸は疲労感を増し、集中力を下げる
- 口呼吸の子どもは猫背になりやすく、気管が弱くなる
- 脱水症状になりやすい
- 口の中が乾燥するため、酸性になりやすい(歯や歯茎の病気につながる)
- 口の中の細菌叢が変わり、口臭の原因になる
- いびきや睡眠障害の原因になる
- 口で呼吸をすると鼻の血管が炎症を起こして腫れ、粘液の分泌が増加→鼻がつまる→鼻呼吸が困難に→口呼吸が習慣化→やがて鼻づまりが慢性する
逆に、鼻呼吸の利点です。
- 鼻呼吸は口呼吸に比べて呼吸量が半分ぐらい減るため、体内に取り込める酸素の量が20%増える(ボーア効果)
- 鼻呼吸をすると、吸い込む空気の温度が瞬時に調整される
- 吸い込んだ空気から大量の細菌やバクテリアが除去される
- 前述の通り、鼻は一酸化窒素の貯蔵庫であり、一酸化窒素は健康維持に欠かせない気体
- 鼻呼吸は脳卒中や心臓発作の予防にもなる
では、「静かな鼻呼吸」を実際にやってみましょう。
息は、吸う時も吐く時も「鼻」から。
呼吸は「スーハースーハー」と音がしないぐらい静かに。且つ、お腹まで息を入れる(腹式呼吸)。
ただし、大げさにお腹を膨らませる必要はなく、「呼吸に伴う横隔膜の動き」を感じる程度。
慣れてきたら、徐々に呼吸の量を減らしていく。
更に、少し息苦しさを感じるぐらいの呼吸量でキープ。
胸の収縮もお腹の収縮も小さくなる。
頭がクラクラしたり動悸がしたり不安になったら、無理をせず呼吸量を増やす。
心身が安定してきたら、また徐々に呼吸量を減らしていく。
これをしばらく続けていると、身も心も静かになっていきます。
仕事中や普段の生活の中でも、時々自分の呼吸をモニターして、「静かな鼻呼吸」を意識してみるといいと思います。
花粉症や鼻炎で鼻水をしょっちゅうすする。
これも深呼吸と同じで「呼吸過多」になります。
でも、鼻水は出てくるし、どんどん鼻もつまっていく。頭もぼーっとしてくる。
そんな時でも、呼吸量を減らす鼻呼吸を気長におこなっていると、少しずつ落ち着いていきます。
更に落ち着かせたい時は、息を止めて歩くという方法もあります。
静かに鼻呼吸をしながら歩き、鼻から軽く息を吐き出してから息を止める(本には「鼻をつまむ」とありますがお好みで)。
何十歩か歩いて息が苦しくなったら、通常の静かな鼻呼吸に戻して1〜2分歩く。
また息を止めて何十歩か歩く。
これを6回ぐらい繰り返す。
息を止める時は限界まで我慢せず、通常の呼吸に戻した時に鼻呼吸3回ぐらいで息が落ち着く程度に済ませておく。
呼吸を再開した時に口呼吸になってしまうなら、我慢し過ぎのサインです。
特に最初はがんばり過ぎないこと。限界まで我慢すると、胸が苦しくなったり頭がクラクラすることもあるので、無理は禁物です。
私の場合、調子がいい時は80歩以上息を止めて歩けますが、30歩ぐらいしか我慢できない時もあります。
最後に。
鼻腔は鼻の奥に広がっているので、息は水平方向に吸い込みます。
おでこや脳天に向かって吸い込むのではなく、後頭部の方向に吸い込む。
そうすると息が楽に入っていきます。

コロナ禍をきっかけにマスクをする機会が増え、口呼吸が常態化している方も多いと思います。
街でも、マスクの口元が呼吸に合わせて動いている人をよく見かけます。
心身の健康のためにも、「静かな鼻呼吸」を意識してみてください。
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